ビブリア古書堂の事件手帖 ~扉子と不思議な客人たち~

★あらすじ

時は2018年。前作から七年の時が過ぎている。北鎌倉で古本屋「ビブリア古書堂」を今も営んでいる主人公の篠川栞子と五浦大輔は結婚し、一女(扉子)を設けていた。その子ももう六歳。外見は母親の栞子そっくり。そっくりなのは本に対する興味(執着)も同じ。六歳にして江戸川乱歩の「電人M」を読み耽り、テレビには目もくれない。幼稚園でも、友だちづきあいは全くなく、一人、本の世界にのめり込んでいる始末。そんな子は、本にまつわるエピソードを聞くのも大好き。今日も母親にねだって、店で見つけた本に秘められた話を母親から聞き出そうとしていた。

● 北原白秋 与田準一編 「からたちの花 北原白秋童話集」

第一巻で登場した坂口昌志の姪である平尾由紀子は、入院中の父の頼みで北鎌倉の駅に降り立った。叔父の坂口昌志にある本を(買い求めて)届けて欲しいと頼まれたのだ。どこに売っているかとネットで調べ、ビブリア古書堂を見つけたのだった。その本は北原白秋の童話集「からたちの花」だ。

からたちの花が咲いたよ。
白い、白い花が咲いたよ。
からたちのとげはいたいよ。
青い青い針のとげだよ。

実は、叔父と平尾家とは、由紀子が子供の頃から絶縁状態にあった。それなのになぜこんな童話集を届けろと父は言ったのだろうか。この童謡は由紀子も子供の頃に聞いた覚えはあるのだが。。。

● 内田百閒 「王様の背中」(樂浪書院)

第七巻で登場した吉原喜市の息子 吉原孝二は、父が経営していた舞砂道具店を継いで三代目店主となっていた。舞砂道具店は古美術品や古書を扱っている。今日も、父の時代の顧客だった山田家を訪ねていた。古書の収集家だった山田要助が亡くなったことを知り、家族がそのコレクションを売りたがっているのではと踏んでのことだ。だが、タイミングが遅すぎた。要助のコレクションは他の古書店が先に買い漁ってしまい、書棚は既に空になっていたのだ。そして、倉庫に残っていた最後の古書もまさに今、他の古書店に売りに行ってしまったのだ。しかもそれは、あの因縁のビブリア古書堂だったのだ。
先代の吉原喜市はシェークスピアの稀覯本を巡ってビブリア古書堂と争い、それに負けて大損をしてしまった過去がある。まさにそのショックで身体を壊し、商売から手を引くこととなってしまったのだ。息子の孝二はビブリア古書堂を“親の敵”と思っていた。そんな相手に、またもここで負けてしまうとは。吉原孝二には我慢できないことだった。。。

★基本データ&目次

作者 三上延
発行元 KADOKAWA (メディアワークス文庫)
発行年 2018
ISBN 9784049120448
  • プロローグ
  • 第一話 北原白秋 与田準一編 「からたちの花 北原白秋童話集」(新潮文庫)
  • 第二話 「俺と母さんの思い出の本」
  • 第三話 佐々木丸美 「雪の断章」(講談社)
  • 第四話 内田百閒 「王様の背中」(樂浪書院)
  • エピローグ

★ 感想

過去のシリーズ作品に登場した人物や、その関係者(家族やらなんやら)が次々と登場する。過去の作品の後日談的な話になっているのだ。シリーズのファンに対してのサービス精神が旺盛な著者なのだろう。とは言え、単純な“その後の物語”ではなく、新たな事件がちゃんと起きている。そこはきちんとしてます。
「その一冊」に話を結びつけるのが少々強引なところもあるけど、単行本とその後の文庫本版の違いをネタにしたり、昔の本の挿絵は(本物の)版画が一枚ずつ貼られているものがあったりなどという、知っている人しか知らない(?)ネタを色々と出してきて「へぇ、そうなのか?!」と思わせてくれるところも健在。
さらりと読めて、楽しめる一冊。

それにしても、今回もネタに使われた作品はどれも読んだことがない。「雪の断章」は相米慎二監督・斉藤由貴主演で映画になった作品かな。でも、原作は読んだことがなかった。北原白秋や内田百閒は、名前は知っているものの、作品を手に取ることはなかった。これを機に読んでみるかな、とも思ったのだけれど、廃刊になっているものが多くて、入手は困難そう。それがちょっと残念。

・ 電子書籍版

・ 紙版





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