グーグルのマインドフルネス革命

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★あらすじ

マインドフルネスとは、周囲の評価や視線を気にせず、自分自身の意識をあるがままの自分に向けること。そして、そこから得られる気付きのこと
グーグルでは、社員みんなが日々、クリエイティブな仕事に取り組んでいる。それはやりがいのあるものであると同時に、プレッシャーも大きい。そのプレッシャーを和らげ、健康に仕事をしてもらうことはグーグルにとってクリエイティビティや生産性を高めるために重要な問題だ。

元々エンジニアだったビル・ドウェインは今、グーグルの人材開発部門で「マインドフルネス」を推進している。エンジニアだった頃には「瞑想なんて、ヒッピーみたいだ。。。」と否定的だったが、グーグル社内での講演会で脳神経学者の話を聞き、瞑想によって脳の構造(働き方)に変化が生じることを知り、自分のキャリアを大きく変えて、今の職に就いている。
マインドフルネスは、元々はチベット仏教などで行われている瞑想がルーツとなっているが、グーグルなどで採り入れられる時には宗教性は取り除かれ、純粋なプラクティスとして確立されている。それは、ヨガに似ている。ヨガも元々は宗教上の修行の一つだったが、今では誰もが行うトレーニングの一つとなっている。同様に、マインドフルネスも仏教内で行われていた修行の技からエッセンスをとりだした形だ。
今では、マインドフルネスを実践するためのアプリも開発されている。HeadSpaceがそれだ。だれもが簡単に使え、オフィスや家庭で瞑想の時間をもてるようになる。

現在、多くの有名企業が採り入れているマインドフルネスだが、実際にグーグルでは大きな成果を上げている。グーグルでは“vulnerable”という言葉が一つのキーワードになっている。脆弱性と言った意味だが、自分の感情や心の内を押し殺して黙々と仕事に取り組むのではなく、自分の気持ちをオープンにする(脆弱な状態にする)方がチーム内での信頼関係も強くなり、結果として仕事の成果・効率性も上がると言うことだ。マインドフルネスは、自分の心を開き、そして相手を想いやる気持ちももてるようになる、そんな状態を作る助けとなっているのだ。

附録のCDには、マインドフルネスを実践するための音声ガイドが入っている。

★基本データ&目次

作者サンガ編集部
発行元サンガ
発行年2015
副題グーグル社員5万人の「10人に1人」が実践する最先端のプラクティス
ISBN9784865640175
  • 第一部 グーグルにおけるマインドフルネスの取り組み――グーグル人材開発部門 ビル・ドウェイン氏インタビュー
    • 第一章 はじめに
    • 第二章 マインドフルネスとは何か?
    • 第三章 マインドフルネスの効用と仕組み
    • 第四章 グーグルがマインドフルネスに取り組んでいる理由
    • 第五章 マインドフルネスが宗教性を排除した理由
    • 第六章 マインドフルネスがビジネスに与えた影響
  • 第二部 マインドフルネスの実践と未来
    • 第七章 マインドフルネススタートガイド
    • 第八章 ヘッドスペース アンディー・プディコム氏とビル・ドウェイン氏による瞑想ガイダンスと瞑想Q&A
    • 第九章 ビル・ドウェイン氏からのメッセージ―マインドフルネスは社会とつながっている
    • 第十章 日本でマインドフルな生き方をするために

★ 感想

仏教では、瞑想というと心の中に曼荼羅を描き、仏の世界に入り込んでその一員となる、といった話かと思う。まさに精神世界に入り込んで、それによって平安を得ようということだ。それを解脱というのかどうかは、詳しくないので知らないが、悪く言えば「自分の中に(完全に)閉じこもってしまう」訳で、究極の引きこもりとも言える。宗教の場合はどうしても死生観が伴うので、死後の世界の安寧となるとそれもアリなのだろう。
そんな印象を持っていたので、マインドフルネスもなんとなく“胡散臭いもの”と思っていた。あのスティーブ・ジョブズがサブカルチャーにハマっていたなんて話も思い出されたし、シリコンバレーの連中はやはり怪しげなのが好きなのかな、と。実際、今も、瞑想するだけでそんなに生産性が上がったり、クリエイティブになったりするものかね?!とは思っているのが本音。

とは言え、この本の附録にある入門編をちょっとやってみると、確かに心静かな落ち着いた気分になれたのは本当。まあ、人に寛容になったり、その後の仕事への取り組み方が変わったりまではいってませんが、それでもリフレッシュになることは実感しました。グーグルで働く連中は、元々がやる気満々の人たちだろうから、ちょっと落ち着いた気分になるだけで本来の力を取り戻すことができたのでしょう。マインドフルネスをやったからといって、本来持っている力以上のものが発揮できるかは別の問題のようです。もちろん、一人ではなく、チームのメンバーがみんなで取り組むと、相乗効果で一歩先に、一段上に行くこともできるかも知れませんが。

それにしてもグーグルってのは凄い会社ですね。エンジニアだった人がいきなり瞑想推進者になっちゃって、しかも人材開発部門でそれを推進しているのだから。芽がありそうなものはなんでもトライしてみよう、という姿勢なんでしょう。確かに、それじゃないと“これまで世の中にないもの”を生み出すのは不可能。で、マインドフルネスもやってみたら意外といいぞとなった訳。そんな感じだから、ちょっと信じてもいいかなと言う気になります。

百聞は一見にしかず。附録CDの練習コースで試してみるのが一番です。自分で試してみて良いと思えば続ければいいかと。その意味で、入門編としては丁度いい一冊でした。

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