数学文章作法 基礎編

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★あらすじ

正確で読みやすい文章を書く心がけを説明するのが本書の目的。
文章を書く時には、「あなたの考えを読書に伝えること」がゴールとなる。そのため、「読者のことを考える」ことが大事だ。
そのためには、

  • 読者は何を知っているのか
  • 読者はどれだけ読みたがっているのか
  • 読者は何を求めて読むのか

を意識して文章を書く必要がある。
しかし、「読者を意識する」気構えだけでは文章は書けない。文章の形式や構造を理解し、使えなければいけない。語句や書体、書き言葉・話し言葉の区別などが必要。段落や節・章の構成、そして見出しの工夫なども必要になる。基本となるのは、文章の各レベルで「何を主張しようとしているのか」自問しながら文章を書くことだ。

「読者を混乱させない」工夫も大事。二重否定を避けたり、同じ概念には同じ言葉を使う(異なった概念には違う言葉を使う)、呼応は正しく(温度が熱い × / 温度が高い ○)、順序は正しくするなど注意しよう。
「問いと答えの呼応」もしっかりとしなければいけない。問いを投げておいて答えがないのはNG。また、説明と問いが混在している文章はわかりにくく、誤解が生じる。混乱を避け、正しく問いを立て、そしてそれに答えよう。「問いと答え」の対応がしっかりしていれば、読者を新しい論点へうまく導くことができます。

★基本データ&目次

作者結城浩
発行元筑摩書房 (ちくま学芸文庫)
発行年2013
ISBN9784480095251
  • はじめに
  • 第1章 読者
  • 第2章 基本
  • 第3章 順序と階層
  • 第4章 数式と命題
  • 第5章 例
  • 第6章 問いと答え
  • 第7章 目次と索引
  • 第8章 たったひとつの伝えたいこと

★ 感想

著者は数式を多く用いた文章を書くことが多いとのこと。プログラミング入門書や暗号技術などの著書が多数ある。「数学ガール」シリーズは有名(未だ読んだことがないのですが・・・)。
込み入った文章を普段書いているだけあって、本書のような文章作法を書くというのは自然なことだったのだろう。まさに“現役ライターのテクニック”という感じで、非常に実用的。というか、実戦的で即効性がある話ばかりだった。
実際、まずは本書の書き方を真似するのも手っ取り早い文章上達法だと思える。各章の冒頭には、その章における狙いが明示されていて、章末には(敢えて繰り返しの)まとめも書いてある。これならば誤読されることは少ないだろうし、読者にとっても記憶に残り易い。これだけでもやってみたら自分の文章がかなりよくなるんじゃないかな、と思えます。

もちろん、小説や詩などは“読み易い”ことよりも重要視される観点があるだろうけど、職場や学校で各文章のほとんどは「人に読んでもらう」ためのもの。そんな文章を書く時には、本書の“文章作法”に倣うのがよい。

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