まっすぐ生きてきましたが

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★あらすじ

山崎怜奈の「言葉のおすそわけ」 | Hanako Webで連載しているエッセイの書籍化第二弾である。

乃木坂46を卒業した後、個人事務所を立ち上げて以降に連載されたエッセイをまとめたものが本書である。前作と比べて方向性が変化してきており、生理の話、選挙の話、ソーシャルメディア上の誹謗中傷の話などを“まっすぐに”書いている。また、普段はラジオパーソナリティとして語っているが、そこで自分自身のことに触れることは少ない。その分、本書では恋愛の話や飼っている猫の話も書き下ろしエッセイとして収めている。さらには数々の番組で共演もしている爆笑問題・太田光との対談も記されている。

息苦しさを感じる日々の暮らしの中で、いかにして愉快に“サバイブ”していくか、著者が選択した方法を記している。
例えば、仕事が立て込んでいるときほど仕事以外の理由で人と会う。大人数ではなくできれば二人で。自分が正直でいられる人と会う。正直な人とは「新たな知見に耳を傾ける柔軟さを持ちつつ、他人にどう思われるかによって自分の本音を歪めない人」だ。

辛さを訴えている人に「頑張って」と言うのは励ましているようでさらにダメージを与えてしまうかもしれない。その人は既に頑張っていて、その上で苦しさを吐露しているのだから。ラジオのリスナーからの辛さを訴えるメールに対して著者は「応援しています」と声をかけた。翌日、そのメッセージに感謝の意を伝えるメールが届いたそうだ。

★基本データ&目次

作者山崎怜奈
発行元マガジンハウス
発行年2025
ISBN9784838733590
  • 仕事
  • 生活
  • 家族と友人
  • 気持ちと言葉
  • 恋愛
  • 爆笑問題 太田光さん対談
  • 愛猫のこと。
  • おわりに

★ 感想

山崎怜奈さんはこの本のタイトル通りの人だと思う。何事に対しても自分の考えをはっきりと語る。当たり前の姿勢だと思うのだが、残念ながら世間の風潮は「空気を読む」「長いものに巻かれる」ことを良しとしている。
謙虚さは日本人の美徳であるとの考え方もあるだろうが、それが行き過ぎて議論をすることができない国民性になってしまっているようだ。最近あった自民党総裁候補同士の“討論会”も、全く議論をせずに終わってしまった。政治家のトップたちがこの有り様なのだから仕方がない。これは未だに儒教的な教えが底辺に淀んでいる学校教育のせいなのだろうか。

さて、そんな世の中に生きる彼女はまっすぐ生きているからこそ色々なものにぶつかってしまう。さらには仕事に向かう姿勢も真面目そのもので手を抜くことをしない。寝る間を惜しみ、身を削って働き続けているように見える。世の中、ワークライフバランスが大事と言われるようになって久しいが、彼女の場合は自分自身のメンタリティの平穏を保つために受け流しや達観、客観視などの“技”を体得し、それによって辛うじてバランスをキープしているようだ。
その上で、彼女はそんな自分の価値観を人に押し付けることがない。他者を尊重し、寄り添うし市営さえ見せている。「達観」「悟りの境地」とはこのことじゃないかと思えてくる。

と、本の感想というよりは山崎怜奈さんの生き方・考え方に対しての感想になってしまった。だが、本書はまさに彼女の生き方・考え方がストレートに伝わってくるのだからこんな感想になってしまっても仕方がないと思う。
とにかく、読んでみてほしい。読むべき一冊だ。

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