日本列島100万年史

★あらすじ

地形は内的営力(火山の噴火、地震などによる地殻変動)と外的営力(気候の変化、集中豪雨などによる浸食・堆積)によって姿を変えていく。人間の生活活動による営力も無視はできない。
日本列島を形作る内的営力で最も大きなものがプレートテクトニクスだ。プレート同士の動きによる歪みが境界に集中するが、日本列島はユーラシアプレート、北アメリカプレート、太平洋プレート、フィリピン海プレートがぶつかり合う場所にある。
例えば、伊豆諸島を形成する伊豆バー(火山列)はフィリピン海プレートの移動に伴って日本列島に“衝突”し、衝突された側は多くな歪みを生じてフォッサマグナを形成した。この位置で日本列島は大きく二つに分断され、東北日本と西南日本とに分かれてしまった。
このような大規模な地形は、直接見ることは難しい。そこで北から順に、それぞれの地域の地形を見ていくことにする。

北海道の大雪山は2,000m級の山々の総称。その中の層雲峡では、高温の溶岩や火砕流堆積物が冷えて固まる時にできる、六角柱状の割れ目である「柱状節理(ちゅうじょうせつり)」が見られる。
寒冷な時期には海面が下がり、樺太と北海道は陸続きとなっていた。そのため、マンモス象なども北海道に渡ってきている。しかし、津軽海峡は海釜(かいふ:潮流の浸食によって海底が削られてできる窪地)のために本州と陸続きになることはなかった。そのため、北海道と本州以南では動植物の分布が異なっている。この境界線は「ブラキストン線」と呼ばれている。ところが、ナウマン象の化石はなぜか北海道でも、そして本州以南でも見つかっていて、なぜナウマン象だけがブラキストン線を越えることができたのかは分かっていない。

関東平野は日本の中でもダントツに広い。17,000 平方Kmもあり、日本の平野の18%を占める。そのため、日本の総人口の約34%が関東平野に集中している。
そんな関東平野は中央部が沈降し、周辺部は逆に隆起している。五世紀頃の古墳群が沈降して、その後の堆積によって埋まってしまい、現在に至って住宅地建設の際に発見される例もある。武蔵野台地全体が北西に傾いている。河川は西から東に流れているので、通常は下流(東側)が低くなるのだが、その逆になっているのだ。
房総半島では、プレートの境界(相模トラフ)がすぐ近くにあるため、特に隆起が激しい。1703年の元禄地震はM8クラスだったと言われ、房総半島南部は6mも隆起している。

★基本データ&目次

タイトル日本列島100万年史 大地に刻まれた壮大な物語
作者山崎晴雄, 久保純子
発行元講談社(ブルーバックス)
発行年2017
ISBN 9784065020005
  • 第1章 日本列島はどのようにして形作られたか
  • 第2章 北海道
    • 2・1 大雪山と氷河期
    • 2・2 石狩平野と泥炭地
  • 第3章 東北
    • 3・1 三内丸山遺跡と縄文海進
    • 3・2 奥羽山脈と三陸リアス式海岸
  • 第4章 関東
    • 4・1 関東平野はなぜ広いのか
    • 4・2 武蔵野台地と東京低地
    • 4・3 天下の険、箱根火山
    • 4・4 御殿場泥流と足柄平野
  • 第5章 中部
    • 5・1 富士山はどうして美しいのか
    • 5・2 日本アルプス
  • 第6章 近畿
    • 6・1 近畿三角帯──京阪神と中京の地形
    • 6・2 神戸と兵庫県南部地震
  • 第7章 中国・四国
    • 7・1 西南日本と南海トラフ
    • 7・2 瀬戸内海と中国地方
  • 第8章 九州
    • 8・1 九州シラス台地と巨大火砕流

★ 感想

「関東平野の下には、赤土の関東ローム層が広がっていて・・・」、「東北のリアス式海岸は津波の被害が多く・・・」、「シラス台地は複数のカルデラから吹き出した“溶岩”が流れて固まったもので・・・」などなど、地理で習った記憶がある。何せうろ覚えだったし、地理の成績は今ひとつだったこともあり、勘違いをしていたり、間違った認識を持っていたり、その後の研究で“正解”が変わったことも多いと、本書を読んで改めて分かった。そしてもちろん、知らない話、初めて聞いた話も一杯だった。

日本列島と一括りにしては語れないほど、各地の地理的成り立ちや特徴は異なっているようだ。いくつものプレートがぶつかり合っている境界に位置しているだけあって、部分部分の動きはとても複雑なようだ。そんな日本列島について本書では、北海道から九州まで順に説明してくれている。また、その中で各地域の個々の状態はもちろん、共通する点も相互に記述があり、全体として分かりやすいものとなっている。
本書の中でもでてきているが、TV番組「ブラタモリ – NHK」のお蔭で地理に興味を持つ人は増えているようだ。そんなニーズに本書は応えてくれている。聞き慣れない専門用語も多く出てくるが、事例(実際の土地の様子)を用いて説明してくれているので、なるほどこういう土地のことか、と納得できる。また図解も多く、「正断層」「逆断層」「右横ずれ断層」「左横ずれ断層」などもパッとイメージすることができた。この辺り、一般向け書籍として分かり易くするために著者もかなり苦労したんだろうなと思わせる。

地球という大きな存在にとっては、表面のほんの小さな“皺”がズレたりしただけの話なのかも知れない。が、その上に暮らす我々にとって、いや、過去から今に至るまでの日本人の歴史にとって、それら皺の一つ一つがこんなにも大きな意味を持っていたのかと感心。そして、地震や火山の噴火って、やっぱり恐ろしいものなのだなぁと改めて思った。災害に対してできる備えはしなければいけないし、備えすらできない巨大災害もある(その場合は諦めるしかなさそう・・・)ことも知り、今を生きていることの有り難みも感じられる、そんな一冊だった。観光旅行のガイドブックとしても、そして災害対策の基礎知識としても読むべき一冊だろう。

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