ビジネスモデル・キャンバス徹底攻略ガイド

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IT開発関連書とビジネス書が豊富な翔泳社の通販『SEshop』翔泳社ブックアンバサダーに選ばれ、本書を提供してもらい、レビューしています。

★あらすじ

ビジネスモデル・キャンバスは九つの要素から成る、一枚のシートです。企業が顧客に対する価値を創造し、提供し、それによって報酬を得るためのロジックをまとめたものです。ビジネスモデルを関係者間で共有するための可視化ツールとして、世界中の企業で使われています。
ビジネスモデル・キャンバスは新規ビジネスだけではなく、既存ビジネスにも適用可能ですし、組織・チームのレベルでも、そして個人個人にとっても使えるツールなのです。

ビジネスモデル・キャンバス
ビジネスモデル・キャンバス

まず、CS(顧客セグメント)から書き出しを始めよう。ビジネスのターゲットとなる顧客を列挙し、グループ化(セグメント化)していく。各セグメントには番号を振り、あとの作業で参照できるようにしておこう。その際、直接の顧客(商品・サービスを購入する人)とエンドユーザーは異なることがあるので、分けて考えよう。

次はVP(顧客にもたらす価値)を考える。自分たちの商品・サービスをなぜ顧客が選んでくれるのか、その理由を考えて記述していく。VPは顧客セグメントごとに異なるので、個々のセグメントを意識し、関連付け(VP側にCSのナンバーを記入していく)をしながら進めて行こう。

このような形で、まずはラフでいいので1stキャンバスを作る。次に、顧客セグメントの分析を詳細に行い、その結果を踏まえて2ndキャンバスを書き上げていく(1stキャンバスを修正する)。さらには市場動向や競合他社、パートナー企業との関係を分析した上で3rdキャンバスに仕上げていく。

ビジネスモデル・キャンバスは組織・チームのレベルでも有用です。最近、テレワーク・リモートワークも増えて、メンバーは自分の役割や他社との連携の意義が不明確になっていると感じるようになっている。そんな状況では、目的の明確化・関係性の強化・達成感の共有にこのビジネスモデル・キャンバスが役に立つのだ。
チームにおいても、まずはCSから考える。自分たちのチームは誰の役に立っているかを分析していく。この時、顧客の候補としては社内・社外双方に求める必要がある。
この際、企業全体の戦略との整合性も重要であるため、俯瞰的な視点を忘れてはいけない。

個人個人のレベルであるパーソナルキャンバスでは、KR(主なリソース)から考えよう。自分自身の棚卸しのつもりで、興味を持っていること、スキル、能力、個性、資産、そして人脈などを挙げていく。また、収入は得られるものや報酬、コストは費やすものとなります。

★基本データ&目次

作者今津美樹
発行元翔泳社
発行年2020
副題企業、チーム、個人を成功に導く「ビジネスモデル設計書」
ISBN9784798167381
  • はじめに
  • 本書の構成
  • 本書の効果的な使い方
  • CHAPTER 1 ビジネスモデル・キャンバスの基礎
  • CHAPTER 2 ビジネスモデルの構築
  • CHAPTER 3 チームモデルの構築
  • CHAPTER 4 パーソナルモデルの構築
  • CHAPTER 5 ケース別キャンバス活用例

★ 感想

本業のサラリーマンの方で、新規ビジネスの計画を立て、その際にビジネスモデル・キャンバスを書いてみたばかりだったので、翔泳社ブックアンバサダーの企画に「ビジネスモデル・キャンバス徹底攻略ガイド」が対象になっていたのを知り、すぐに応募したのでした。

この手のツール、確かにアイデアをまとめて、人に説明するのに便利なんですが、いざ書こうと思うと意外と難しいもの。数の問題ではないですが、SWOTの四つのコマに対してビジネスモデル・キャンバスは九つも項目があるんですから。その辺りを本書は順を追って、適度な例示を入れ説明してくれているので分かり易い。九つの要素をどの順番で考えればいいのか、そして、先に進んだ後に後戻り(再考)するポイントまで示しています。
Tips的な説明もいいですね。「BtoBビジネスでも(顧客の具体像としての)“ペルソナ”を想定するとやり易い」だの、アクティビティの優先順位付けは「1.即効性、2.インパクト、3.現場でのやり易さ」だのといった具合。

ページ数は200ページ程度。これで五章分の内容ですから、各章の内容はかなりコンパクト。サラッと読めてしまいます。それでも、この本を片手にビジネスモデル・キャンバスを書いていけば、かなり納得のいく内容のものが作れそうです。

個人用のパーソナルキャンバスの話も面白かった。企業・組織向けのこのチャートも、ちょっと読み替えを行うと個人の目標管理やキャリアアップの計画に使えるというもの。「まず、自身の棚卸しから始めよう」というのも頷ける。そして「プロジェクトのキックオフなどで自己紹介する際に使ってみよう」というのもいいかも知れない。セルフプロデュースだとかセルフブランディングなどが重要だと言われている昨今、まずはこのパーソナルキャンバスを使って自分自身を整理・整頓するのも良い一歩になりそう。

注文を付けるとしたら、最終章の「ケース別キャンバス活用例」はもう少し突っ込んで説明があったら良かったかも。全体的にコンパクトにまとまった説明になっているのは分かり易さに貢献しているのですが、同じ調子だと“三階層”を連携させたキャンバスの説明には物足りなさが残ったかも。ここまで読んでくれば、あとは事例を見れば分かるだろう、と言うことかも知れませんが、もうちょっと欲しかったかな。

これからビジネスモデル・キャンバスを書いてみようという人にも、そして私のように多少は経験があるものの、もう少し上手く使いこなしたいなと思っている人にもおすすめです。

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