出版社のPR誌って意外とおもしろい

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出版社のPR誌って何?

出版社のPR誌って知ってますか? 出版社PR誌とは、自社の新刊を読者に紹介するために発行する広報誌・案内誌です。主な目的は新刊の宣伝なのですが、中には作家の書き下ろしエッセイや連載、対談・インタビューなどの読み物を載せているものもあり、そこから単行本化される作品も少なくありません。多くは書店のレジ横などに置かれ、無料で持ち帰れます。宣伝が主たる目的ですからね。でも「続けて読みたい。書店だと品切れになることもある」という人のために、一冊100円程度での販売や年間1,000円前後の購読などのサービスをしてくれている出版社もあります。読者と出版社をつなぐ「無料で読める良質な本の雑誌」として長く親しまれていて、岩波書店の『図書』(1938年創刊)や新潮社の『波』(1967年創刊)が代表例です。

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残念ながら近年は休刊してしまったもの(講談社の『本』など)や、Web版になったもの(みすず書房の『月刊みすず』)も少なくないです。だからこそ、応援の気持ちも込めて私はいくつかを定期購読しています。

吉川弘文館の『本郷』

私が定期購読している一冊が吉川弘文館の『本郷』です。新刊書の著者が自著を紹介しつつ、ちょっとした関連トピックを紹介してくれたり、世界のちょっと面白い博物館を紹介するコーナーがあったりします。

例えば、No.184では2026/4/22刊行の『江戸時代の死刑』の著者が文章を寄せている。本書では小塚原や鈴ヶ森などの江戸の処刑場について書かれているようだが、『本郷』への寄稿においては著者の地元や勤務先の伊豆や名古屋の処刑場について紹介している。それによると、江戸時代の処刑は公開で行われ、斬首された首はいわゆる“晒し首”となったそうだ。そのため、処刑場はどこも街道沿いにあり、往来の人々に見せることを目的とした立地となっていた。だが、それだけではなく、多くの処刑場は川の近くに設けられたらしい。著者はそれを、物理的な後始末・洗浄の他に「川の流れによって汚れを清めるため」だと解釈した。そんなところに当時の人々の宗教観・価値観が垣間見られるという訳だ。

私はまだこの本を読んではいないがなかなか面白そうだなと思い始めている。

新刊の紹介って、各出版社の公式サイトやAmazonなどで読めます。また、新聞の書評(朝日新聞の『好書好日』など)では“著名人”の紹介文・書評を読むことができます。でも、意外と著者本人による紹介って珍しい気がします。

角川春樹事務所の『ランティエ』

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さて、急にPR誌のことを取り上げたのは、最近読んだ山崎怜奈著『すべては果てしない賭け』の特集を、角川春樹事務所のPR誌『ランティエ』でしていると知ったのがきっかけ。上記の通り、吉川弘文館の『本郷』などは定期購読しているけど、角川春樹事務所がPR誌を出していることは初めて知ったのです。

ということで、久しぶりに本屋に出掛けていき、もらってこようと思ったのでした。ところが、渋谷の本屋をはしごしても見つかりません。紀伊國屋書店 渋谷道玄坂店、紀伊國屋書店 西武渋谷店、TSUTAYA BOOKSTORE サクラステージ店、大盛堂書店を巡ったのに空振り。
しかし、紀伊國屋書店 西武渋谷店で「新宿本店ならばありますよ」と教えてくれたので、ここまで来たらと新宿へ移動し、これまた久しぶりに紀伊國屋書店 新宿本店に向かったのでした。

紀伊國屋書店 新宿本店のカウンターで聞いたところ、文芸作品などを扱っている二階に置いてあるとのこと。そして、やっとのことでゲットすることができたのでした。
驚いたのはその厚さ。他紙が100ページ弱なのに対して『ランティエ』は倍以上の200ページ強。いやぁ、力を入れていますね。かつて『犬神家の一族』や『人間の証明』などの作品で超大々的に“メディアミックス”を展開した角川春樹氏の名を冠する会社だけのことはあります。PRにどれだけ力を入れているの?!と、びっくりです。

  • PR誌
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山崎怜奈さんの特集では、『すべては果てしない賭け』本編から二つのエッセイを抜粋して掲載してありました。これらを読めば、本書がどのような内容か分かるし、また「意外と読み易い(?)」ということも分かってもらえそうです。

彼女の記事の他には越尾圭氏の特集が組まれていて、著作の『黒幕』と『なりすまし』が紹介されています。
そして驚きなのが、その他は十数作の連載小説が掲載されていること。こうなるとPR誌というよりも文芸誌ですねこれは。これを無料で配っているのだから凄いものです。
確実に毎号手に入れて、連載を読みたい人は定期購読も可能で、今のところ年間購読料2,000円(税・送料込み)だそうです。興味のある方はどうぞ。


ぶんじん
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新刊を知ることができ、他にも読み物としても面白い出版社のPR誌たち。本屋さんで配布されているのを見かけたら試しに読んでみてはいかがでしょうか。読書の幅が広がると思いますよ。

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