★あらすじ
八人の人間がそれぞれ別々に、絶海の孤島「兵隊島」に招待される。その島には謎の富豪が建てたヴィラがあるとのこと。その島へは近くの漁港から船で渡るしか行かれない。
八人が島に着くと、屋敷には執事とその妻がいて、彼らの世話を焼いた。彼らは各人部屋に案内される。そこには童謡が記された飾りがあった。
「小さな兵隊さんが10人、食事に行ったら1人が喉につまらせて、残り9人……」
招待客達は誰もが初対面。でも、夕食に満足した彼らは楽しい夜を迎えていた。だがその時、蓄音機から(執事夫婦も入れて)彼ら十人が犯した過去の罪を告発する音声が流れる。そして一人目の犠牲者が。その後も童謡に見立てる形で一人ずつ殺されていく。
謎の十一人目の“犯人”が島のどこかに隠れているかとくまなく探すが見つからない。そして彼らは気づく。連続殺人鬼は自分たちの中にいるということを。 ある者は身の潔白を示すために告発された過去の罪を否定する。ある者は素直に罪を認め、懺悔する。だが、その告白からは誰が犯人なのか分からなかった。
そしてついには最後の一人も。。。
★基本データ
| 作者 | Agatha Christie |
| 発行元 | 早川書房(クリスティー文庫) |
| 発行年 | 2026 |
| ISBN | 9784151320804 |
| 原著 | AND THEN THERE WERE NONE |
| 訳者 | 青木久惠 |
★ 感想
改訂新訳版出版にあたって山崎怜奈さんが解説を書いたとのことで、早速購入。解説を読むには本文も読まねばならないと、まずは読んだのでした。でも、動機(?)はとにかく、読み始めたら面白すぎて、ページをめくる手が止められないという表現はオーバーではない感じだった。 そう、これだけ有名な作品だけど、私は初見でした。
最後の“告白分”を読めば、なるほどそう言えばそうだよなと思えたけど、それまでは犯人が誰なのか全く分からなかった。題名通りに登場人物が全員死んでしまって、誰もいなくなってしまったので、あれ?これはどういうこと??とあっけにとられてしまった。後から読み返せば、話の途中にはそれなりに“ヒント”が散りばめられていたというのに、全く気が付かなかった。でも、悔しいというよりは、素直に降参です。
孤島という密室、童謡をなぞった見立て殺人、登場人物同士が疑心暗鬼になっていく、そんな今では王道となっているミステリーのパターンが九十年前にもうここまでの完成度で作られていたことにも驚いてしまいました。 また、刑事や探偵が出てこないため、被害者達の様子を俯瞰で眺めるようなストーリー展開は今も新鮮。彼ら一人一人についても丁寧な設定がなされ、犯人からするとそれらが彼らが殺されねばならない理由になっている訳だが、その個々人の背景が物語に深みを与えていて読んでいてある種の納得感がある。
山崎怜奈さんの解説も面白かった。自身を神のような存在と思い込んで人を裁く犯人と、現代のソーシャルメディア上の状況を対比させ、この作品の、いや人間のエゴの普遍性を語ってくれています。
次はクリスティー好きの三谷幸喜さんが薦めている「死との約束」を読もうかな。


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