★あらすじ
著者はトラベラーズノートの産みの親。子どもの頃から海外へ旅したいという夢を持っていた。そして大学生になり、バックパッカーとしてインドに旅立つ。インドの混沌とした世界に圧倒されるも、そこからアジア各地を歩き回った。
就職活動では本好きということもあって出版社を受けたが敗退。そして特に興味があった訳ではないが、説明会の雰囲気が良かったと言うだけで文具メーカーに入社した。
元来、モノづくりは好きだった。だが配属されたのは営業。各地を回るも、失敗ばかりで営業成績はサッパリだった。やっと企画部に移った頃、文具展示会でコンペを行うことになり、新たなノートの企画をすることとなった。そう、著者はこのコンペに挑戦したのだ。
海外営業の際に知り合ったタイの革製品加工を営むオーナー夫婦を思い出す。早速、ノートのカバーの試作品を頼んでみた。映画「インディ・ジョーンズ」で主人公が使っていた牛革のカバー、立派な紙のノートが脳裏にあった。しかし、そのノートはとても高級そう。もっと手軽に手に取れるものにしたいと考えていた。
出来上がった試作品を手に取った著者は、なぜかこのノートを持って旅に出たいという思いに駆られた。そんなところから「トラベルジャーナルノート」と名づけてコンペに出品したのだった。そして、みごと展示会にも出せることとなる。さらに、そこでの評判も上々で、実際に商品として販売するに至ったのだが。
だがここで問題が生じる。商標上の都合で「トラベルジャーナルノート」という名前が使えないことが分かったのだ。改めて名前を考える。そこで名づけたのが『トラベラーズノート』だった。そう、その後、世界中で愛されることになるノートがこの世に誕生したのだった。
★基本データ&目次
| 作者 | 飯島淳彦 |
| 発行元 | mille books |
| 発行年 | 2026 |
| ISBN | 9784910215273 |
- 魔法のノート
- 何かが始まる予感
- 旅への憧憬
- 初めての海外
- 旅するように日々を過ごす
- 前夜
- 負け犬
- 旅を愛するすべての人たちへ
- Do It Yourself
- 記憶を呼び起こすノート
- ひとりぼっちじゃない
- 新しい旅の始まり
- 紙で伝えたい
- 古くなるほど輝きを増すノート
- 真っ白いノート
- 笑顔のために
- 毎日を豊かにしてくれるもの
- 仲間たち
- ラブレター
- 寝台列車
- メイド・イン・チェンマイ
- 一杯のコーヒーを飲むために
- 厄年
- 新しいことを始めたくなるノート
- 秘密基地
- 旅人のトランクのように
- 3月11日
- 運命の日
- 新しい文化が生まれる場所
- 好きであり続ける
- 未完成
★ 感想
美術展・写真展に行ったときのチケット、コンサート・ライブのチケットの半券、旅行先でもらったパンフレットやポストカードなど、とても思い出の詰まったものなんだけど、そのままむき出しで取っておくのも忍びない。どう整理しようかと思っていたところ、ちょっと縦長のサイズで、ライブチケットをページに貼り付けつつメモも書ける手頃なノートを見つけた。それが私が最初に購入したトラベラーズノートであり、その使い方だ。今も続いていて、リフィルは二冊目になっている。

ただ、それ以上の使い方は余りしてこなかったのも事実。COVID-19のパンデミック以降、物価高・円安で旅行から遠ざかってしまっているのでトラベルネタがないからだろうか。正直、ノートとしては安くはないのでもうちょっと使っていきたいなと思っていました。そんな時にこの本の発売予告を見てすぐに予約し、そして届いて早々に読み終わったのでした。
内容としては、トラベラーズノートの企画から立ち上げ、そして今日の人気を獲得するに至るサクセスストーリーだ。著者(トラベラーズノートの“産みの親”)の、モノづくりに対する情熱と、単なる商品ではなく楽しさを伝えるためにトラベラーズノートを企画・製作したのだという信念が伝わってくる。
とは言え、それだけだと自分の成功を自慢しているだけの安っぽいビジネス書で終わってしまう。だが、やはりテーマとなっているのがトラベラーズノートだから、そこに思い入れを持って読むと、いわゆる“ファンブック”となっているので、興味深く読むことができた。どうしてあんな風なシンプルな革装にしたのか?とか、リフィルの種類が限定的(システム手帳のように色々なフォーマットが用意されている訳ではない)なのはなぜか?などなど。そして、今や休日には行列ができて入店も難しい、あの中目黒の店舗はどのようにして造られたのかの秘密(?)も知ることができる。ファンとしては充分な内容だ。
まあ、ファンブックとしては先に『TRAVELER’S notebook トラベラーズノート オフィシャルガイド』が発売されていて、私も購入したけれど、情報が並んでいる(だけの)ガイドブックよりも、産みの親が直接語る物語の方がより共感できる。また、著者は企画担当ということだからだろうか、文章が平易でとても読み易かった。あまり飾ることなく、要点をまとめて話してくれている感じ。それもあって一気に読み終わったのだ。
折角なので、もう少しトラベラーズノートを上手く使っていこうと、この本を読んで思い直したところ。そんな訳で、トラベラーズノートのファンの人はもちろん、これから使ってみようかと思っている人にもおすすめの一冊でした。


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