★あらすじ
イギリスののどかな村キングズ・アボットで、富豪の未亡人フェラーズ夫人が服毒自殺を遂げた。彼女には前年に夫を毒殺したという黒い噂が付きまとっていた。 村の医師シェパードは、彼女と再婚間近だった地元の名士ロジャー・アクロイドから屋敷へ招かれる。アクロイドは、夫人が夫殺害を認めていたこと、そして何者かに巨額の金を強請り取られていた事実を苦悩交じりに告白する。その最中、亡き夫人から脅迫者の名を記した遺書が届くが、アクロイドは一人きりで読むと言い張り、シェパードを帰宅させた。
だがその直後、アクロイドが書斎で背後から刺殺されているのが発見される。部屋の窓は開き、現場からは脅迫状も消え失せていた。 警察は莫大な遺産を相続する義理の息子ラルフに嫌疑をかけるが、ラルフは姿を消してしまう。絶望した親族の依頼を受け、村で隠遁生活を送っていた名探偵エルキュール・ポアロが事件の真相究明に乗り出す。 シェパード医師を助手役に従え、関係者の微妙な証言の食い違いやアリバイを解きほぐしていくポアロ。やがて彼が全員を集めた席で明かしたのは、巧妙な心理的盲点を突いた、あまりにも冷徹で驚くべき真実だった。
★基本データ&目次
| 作者 | Agatha Christie |
| 発行元 | 早川書房(クリスティー文庫) |
| 発行年 | 2003 |
| ISBN | 9784151300035 |
| 原著 | The Murder of Roger Ackroyd |
| 訳者 | 羽田詩津子 |
- 第1章 朝食の席でのシェパード医師
- 第2章 キングズ・アボット村の人々
- 第3章 カボチャを栽培する男
- 第4章 ファンリー・パークでの夕食
- 第5章 殺人
- 第6章 チュニジアの短剣
- 第7章 隣人の職業を知る
- 第8章 ラグラン警部の自信
- 第9章 金魚の池
- 第10章 雑用係のメイド
- 第11章 ポアロの訪問
- 第12章 テーブルを囲んで
- 第13章 ガチョウの羽根
- 第14章 セシル・アクロイド夫人
- 第15章 ジェフリー・レイモンド
- 第16章 麻雀の夕べ
- 第17章 パーカー
- 第18章 チャールズ・ケント
- 第19章 フローラ・アクロイド
- 第20章 ミス・ラッセル
- 第21章 新聞の記事
- 第22章 アーシュラの話
- 第23章 ポアロの小さな集まり
- 第24章 ラルフ・ペイトンの話
- 第25章 すべての真相
- 第26章 そして真実があるだけ
- 第27章 弁明
★ 感想
昨年(2025年)の「早川書房八十周年 ハヤカワまつり」で三谷幸喜さん・山崎怜奈さんがトークショーの中で紹介していた作品の一冊がこの『アクロイド殺し』でした。三谷幸喜さんがドラマ化した(脚本を書いた)のだそうです。ドラマ自体は観たことがないんですが、タイトルは『黒井戸殺し』だそうです。原作へのリスペクトということなのでしょう。それもあって、読まねばならないとKindleで購入しておいたんですが、なんだかんだでやっと今、読み終わったのでした。
今となっては「よくあるトリック」なのでしょうが、これを100年前(1926年発表なので、ちょうど百年前!)に書いていたというのに驚き。ファンにとっては今さら何を言うのかという感じでしょうが、初めて読んだ私には「なるほど、そういうことか!」と感心してしまいました。かなり終盤にならないと、このトリックに気が付かなかったですよ、正直に言って。
そして、この作品は探偵のエルキュール・ポアロが登場する三作目の作品だそうです。それなのに、もうポアロは引退して田舎町に引きこもっている設定になっている。アガサ・クリスティはこのあと、新しい主人公を作ろうと思っていたんでしょうかね。まあ、引退していながら、結局は事件に首を突っ込んで、そして解決してしまう訳ですが。そんなところも含めて、ドッキリが散りばめられた作品なのでしょう。
アガサ・クリスティー作品を読んだ後、答え合わせじゃないですが、彼女の著作の中でその作品がどんな位置づけなのかを確認するため、『アガサ・クリスティー完全攻略(決定版)』で当該作品の紹介ページを読むことにしています。そこに書かれていてなるほどと思ったのが、「この作品はトリックが分かった後で、もう一回最初から読むべし」というアドバイス。私はまだ二度目に挑戦していないんですが、それでも途中のあのシーンはそういうことだったのか?!と思い当たることが。アガサ・クリスティーはヒントというか伏線というか、そういうものを作品の随所に仕込んでいたようです。推理小説は読者への挑戦でもあるのでしょうが、見破れずに敗北感を味わった読者は私だけじゃなかったでしょう。彼女はそんな読者の悔しがる顔を想像しながらこの作品を書いていったんですかね。だとしたらかなりのサディストですよ。
結末を知っちゃった人はしょうがないけど、そうでない人は私のように事前知識ゼロで読むべき一冊です。推理小説は総じてそういうものですが、この作品は特にそれを徹底した方が楽しめます。がんばって謎解きに挑戦してくださいな。



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